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将棋ロボットの歴史

将棋ロボットのルーツはチェスにあり?

ロボットにボードゲームをプレイさせる、という考えは古くからありました。その中でもっとも知られているのが、「トルコ人」という機械仕掛けの人形です。

 

トルコ人は人間相手にチェスが指せる機械として18世紀の後半に作られ、そのあまりの強さで話題になりました。しかし当然、この時代にそこまで巧妙な機械を作れるはずもありません。内側にチェスの名人が隠れて操作するという、単純な仕組みでした。

 

コンピューターチェスが世界トップのプレイヤーを破る

20世紀半ばになると、いよいよコンピューターが開発されます。この頃からコンピューターにチェスを指させるという試みが始まりましたが、人間に勝つというのは長らく夢のまた夢でした。

 

しかし1997年、世界的コンピューター企業のIBMが開発した「ディープブルー」が、当時のチェス世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフに勝利しました。

 

このニュースは世界中で話題になり、将棋界にも少なくない衝撃をもたらしました。すなわち「いずれ将棋もコンピューターに負けるのではないか」という危機感です。とはいえ、この頃はまだ楽観的な人が大多数だったようです。

 

チェスと違い、将棋は取った駒を使えるというルールがあります。そのため手の可能性が膨大になり、コンピューターといえどプロを凌ぐのは難しいのではないかと考えられていたのです。

 

将棋でもプロがコンピューターに敗れる

ところが21世紀になると、コンピューター将棋は飛躍的に、人間の予想以上に実力を伸ばしました。たびたびプロ棋士に挑戦するイベントが行われ、善戦する光景が見られるようになったのです。そして2012年には動画配信サイトのニコニコ動画で、プロ棋士とコンピューターが戦う「電王戦」が開催されました。

 

人間側のプレイヤーは、当時の将棋連盟会長で元名人の米長邦雄さん。引退していたとはいえ、一時代を築いたトッププレイヤーでした。しかし米長さんは敗北し、コンピューター将棋の実力を世間に知らしめる結果になりました。

 

翌2013年の第2回から、電王戦は現役プロ5人対コンピューター5体の団体戦になります。そしてコンピューターの3勝1敗1引き分けという結果になりました。ついにコンピューター将棋が現役のプロ棋士に勝利するという、開発者たちの長年の悲願が達成されたのです。

ついに将棋ロボットが登場

第2回電王戦までは代指し、つまりコンピューターの考えた手を人間が代わりに指すという方式でした。しかし2014年の第3回において、ついに自ら指すロボットが登場します。「電王手くん」と名付けられたそのロボットは、将棋を指すために必要な機能がすべて搭載されていました。

 

  • 空気でしっかり駒を吸着する
  • 画像認識により、ずれることなく駒を盤に置くことができる
  • 駒を成るときは専用の駒台を使って裏返せる
  • 対局の開始と終了時に、おじぎができる

 

これだけの機能を持ち、しかも対局相手の人間の邪魔になることもありません。プロ棋士にも将棋ファンにも快く迎えられました。特におじぎの動作は、機械ながら可愛いと評判でした。

 

以降も「電王手さん」「新電王手さん」「電王手一二さん」と名称が変わりながら、よりよい動作ができるようにバージョンアップしていきました。たとえば駒を掴む動作は、空気で吸着するのではなく小さなアームで挟みます。成るときも専用の駒台を使うことなく、自力で裏返すことができ、所要時間も短縮しました。

 

2018年度版「電王手一二さん」では、先手後手を決める「振り駒」もできるようになりました。カップの中に駒を入れ、人間のようにアームを動かし、下に放る。この一連の動作をとてもスムーズにやってのけるのです。

 

トルコ人からはじまった、機械にボードゲームをプレイさせるという試み。チェスも将棋も囲碁も、コンピューターは人間に勝利しました。しかし専用のロボットまで作ったのは将棋以外にありません。

 

電王戦というインターネット発のお祭り企画と、技術力の高い企業。この2つが幸運にも組み合わさった、日本ならではの光景と言えそうです。

 

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