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歩は前方に1マスしか動けない、将棋でもっとも弱い駒です。しかし数が多く、相手に取られても大きな支障がないため、さまざまな使い方があります。将棋が上手くなる秘訣は、歩の使い方が上手くなることと言ってもよいくらいです。
歩の最大の特徴は、成ると金と同じ働きになる「と金」になれることです。成金という言葉がありますが、実は将棋から来ているのです。
特に「5三のと金に負けなし」という格言があります。この位置にと金ができると、相手にとっては非常に厳しいのです。と金に関する言葉は他にもあります。
と金は相手に取られても、ただの歩に戻るため、もっとも効率のいい攻め方です。と金を作ることが勝利への最短ルートと言えます。
歩を使ったテクニックで代表的なのが「垂れ歩」です。相手陣の手前に持ち駒の歩を打つことを言います。これで次にと金を作ることができます。相手玉に近い位置の垂れ歩ほど、やっかいな攻めになるのです。
歩を相手の駒の正面に打つことを「叩く」と表現します。ただし正面に利きがない角と桂馬、同じ歩に対しては叩くとは言いません。
図は▲2三歩と、玉を叩いたところです。王手なので、相手は取るか、かわすかの二択です。しかし取ると▲3五桂の王手があります。あとは角と金を使って、さらに追撃することができそうですね。しかし取らずにかわすのも、攻めの拠点が残るため厳しいです。
こうした使い方があるため、終盤では持ち駒に歩が多くあったほうが有利になれます。
将棋には2つ以上の駒の利きが重なっているマスがいくつもあります。そのようなマスに持ち駒の歩を打つことを「焦点の歩」と言います。
図は3四の地点に、相手の金と銀が利いています。そこに歩を打ったのですが、相手はこの歩を金でも銀でも取ることができません。
もし金で取ると▲2三飛成、銀で取ると▲2二飛成とされてしまいます。被害を防ぐには△3二金と下がるくらいですが、これもまた攻めの拠点が残って厳しいです。
相手を迷わせるのも、将棋のテクニックのひとつです。焦点の歩には「どっちの駒で取ればいいだろう?」と考えさせる効果もありますので、持ち駒に歩が多いときは、積極的に狙ってみましょう。
歩は前にしか進めないので、盤上にあるときは守りに活用することは難しいです。しかし持ち駒にあるときは、守りにも大いに役立ちます。
図は7九の金を、飛車で狙われているところです。王様が取られてしまいますので、金をかわすことはできません。
▲8八玉と上がったり▲8九金と寄せていけば金取りを防ぐことができますが、もっと安全な手があります。
▲6九歩と金の横に歩を打ちました。玉と飛車の間に、二重の壁ができた形です。
このように、歩は他の駒と連携することで、グンと自陣の防御力を高めることができます。横と真後ろに利いている金との相性は抜群で、特に金の下に打った歩は「金底の歩、岩より固し」などと言われています。
盤面の両側の歩を「端歩」と言います。この端歩を突いているかどうかが、勝負の分かれ目になることがあります。
図は美濃囲いですが、1筋の歩を進めています。こうしていると玉が上に逃げられるため、終盤に攻められたときにギリギリ助かることがあるのです。
また相手は穴熊囲いで守っていますが、穴熊は玉のいる端を攻めるのが基本です。チャンスを見計らって端歩をさらに突いていけば、上手く攻めきれる可能性は高まります。
今回は主に初級者が覚えておきたいテクニックを取り上げましたが、他にも有効な歩の使い方はたくさんあります。それらをマスターしたなら、高段者になることも夢ではありません。
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