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竜王戦の歴史を辿ると、1948年の「全日本選手権」がはじまりです。その後「九段戦」「十段戦」と発展解消を続け、1987年に現在の竜王戦になりました。
歴史と格式では江戸時代からある名人のほうが上ですが、現在の将棋界ではスポンサーからの契約金の多さによって序列が決まっているようです。竜王戦七番勝負の優勝賞金は4000万円以上という破格の高さで、これによって竜王位の序列は第1位とされています。竜王と名人を同時に保持している場合は「竜王・名人」というのが正式な肩書になるのです。
竜王戦が名人戦ともっとも違うのは、誰にでもタイトル獲得のチャンスがあることです。名人戦は予選に当たるリーグ戦「順位戦」を、1年かけて戦います。5つあるリーグを順番に上がっていき、A級で優勝しないと挑戦権を得られませんが、A級になれる棋士がそもそも一握りです。
しかし竜王戦は予選からすべてトーナメントです。そのため勝ちさえすれば、プロデビューしたばかりの新人棋士でも竜王になれる可能性があります。また竜王戦は、一部の女流棋士、プロの卵である奨励会三段、そして全国大会を勝ち抜いたアマチュアにも参加資格があります。誰にでもチャンスがある、それが竜王ドリームと呼ばれる理由です。
竜王戦の予選はランキング戦と呼ばれています。まずはこれに勝ち抜いて、本戦である決勝トーナメントを目指すことになります。ランキング戦は6つの組に分かれており、各組から本戦出場者が出ます。内訳は以下のとおりです。
1組は準決勝までに敗れてもチャンスがあり、出場者決定戦に回ってそこで勝ち進むことで本戦への切符を手にすることができます。そしてランキング戦は決勝まで勝ち進めば、次年度は1つ上の組に昇級します。上の組ほど本戦に出やすい仕組みなので、竜王戦で昇級することは本戦出場の次に大事なことと言えます。
他のタイトル戦は、一度トーナメントで負けたらそこで終わりというのがほとんどですが、竜王戦の場合ランキング戦で敗れると昇級者決定戦に回ります(1組を除く)。ここで優勝できれば、決勝トーナメントには出られませんが次年度は1つ上の組に昇級するのです。しかしこの昇級者決定戦でも成績不振に終わると、降級する可能性があります。
各組を勝ち抜いた棋士によって行われる決勝トーナメントは、普通のトーナメントとは一味違う仕組みになっています。2017年度、最年少棋士の藤井聡太さんが6組で優勝したときのトーナメント表をご覧ください。
まるで漫画のようなトーナメント表だと思ったことでしょう。下の組の棋士ほど、多く戦わなければならない仕組みです。ランキング戦の出場枠だけでなく、こういうところでも上位組が竜王に挑戦しやすいのがわかります。
そして左の山と右の山を勝ち抜いた棋士で、挑戦者決定三番勝負を戦います。ここで二番勝てば、いよいよ竜王への挑戦、七番勝負に進むことができるのです。
竜王戦は昇段にも密接に関わっています。たとえば竜王位を1期獲得すれば、八段に昇段できます。他にも以下のような昇段条件が設けられています。
【七段へ】
竜王に挑戦、竜王戦1組昇級、六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝
【六段へ】
竜王戦2組昇級、五段昇段後竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
【五段へ】
竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
たとえばデビューしたばかりの四段の棋士がランキング戦6組を勝ち上がり、決勝トーナメントでも勝ち上がり竜王挑戦を決めると、一気に七段になれるということです。ちなみに藤井聡太さんは「六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級」で七段になりました。
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