将棋の名人戦の仕組みとは

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歴史と格式では随一の名人戦

 

かつては家元制や推挙制だった将棋の名人は、1935年に完全な実力制の名人戦が発足して以来、さまざまなルール変更がありながら、現在に至っています。もっとも歴史がある名人は、現在8つあるタイトル戦の中でも特に高い格式を持ちます。ただし序列においては、最高賞金額が与えられる「竜王」が第1位とされています。

 

実力制名人戦になってからおよそ90年が経ちますが、名人になれた棋士はこれまでに13人しかいません。このことからもハードルの高さがわかると思います。そして名人を獲得した棋士は、誰もが一時代を築いた将棋界の第一人者となっています。

 

名人戦の予選に当たる順位戦

他のタイトル戦はまず予選トーナメントを勝ち上がり、続けて本戦トーナメントや挑戦者決定リーグを戦ったりして挑戦者を決定するのですが、名人戦はそれとはまったく違うシステムで決定しています。それが順位戦です。

 

順位戦は棋士をA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5つのクラスに分け、それぞれのクラスでリーグ戦を行います。そして年間成績によって人員の入れ替えが行われるのです。昇級者に絞って見てみます。

 

A級の優勝者:名人挑戦権を獲得
B級1組の上位2名:A級に昇級
B級2組の上位2名:B級1組に昇級
C級1組の上位2名:B級2組に昇級
C級2組の上位3名:C級1組に昇級

※B級2組以下では、全勝者が規定の人数より多く出た場合、その全員が昇級する。

 

このように、A級で優勝しないと名人戦に出場することはできないのです。順位戦は1年をかけて行われます。そしてプロデビューした棋士は誰でも一番下のクラスであるC級2組からスタートします。つまり名人になるには、どれだけ早くとも最短で5年はかかる計算です。

 

今のところこの記録を達成できた人はいませんが、デビューから4年連続でA級へ昇級した人は2人います。ひとりが「ひふみん」でおなじみの加藤一二三さんで、14歳でデビューしてからの18歳A級の偉業は「神武以来の天才」と称されました。もうひとりが十六世名人の中原誠さんです。中原さんは通算で15期名人位を獲得する大棋士となりました。

 

もし勝ち星が同じなら順位で決める

順位戦はその名のとおり、棋士それぞれに順位が決められています。これは前年度の成績に応じて決まります。また、プロデビューしたばかりの新人棋士はC級2組の下位からのスタートで、上のクラスから陥落してきた棋士――たとえばA級から陥落した棋士は、B級1組の上位となります。

 

順位戦はリーグ戦ですので、勝ち星が同じになる棋士が何人も出てきます。では昇級枠が2人のクラスで、もっとも勝ち星が多い棋士が3人いた場合、どうなるでしょうか? これは順位が上の棋士2人のみが昇級するシステムになっています(ただし前述のとおり、3人とも全勝なら全員が昇級します)。

 

勝ち星が同じなのに、順位が下のために昇級できないことを「頭ハネ」と言います。これで昇級を逃した人は数えきれません。そのため、たとえ今期の昇級の可能性がなくなったとしても、残りの対局が消化試合になるわけではありません。来期の順位を少しでも上げるために勝つ必要があるのです。

 

昇段にも関わる順位戦のシステム

順位戦の特徴のひとつに、クラスが段位に直結するというものがあります。順位戦で昇級すると以下のとおりに段位が上がるのです。

 

C級1組に昇級:五段昇段
B級2組に昇級:六段昇段
B級1組に昇級:七段昇段
A級に昇級:八段昇段

 

最年少棋士の藤井聡太さんは、初めての順位戦――C級2組において全勝を達成し、五段に昇段しました。その後、他棋戦でも勝ちまくって現在はすでに七段になっていますので、今後順位戦で昇段するとしたら、A級昇級以外にはありません。しかしそれまでに別の規定で八段に昇段する可能性もあるでしょう。

 
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