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将棋のプロになる道筋

プロには2種類ある

将棋のプロには「棋士」と「女流棋士」の2種類があります。一般に棋士という場合は前者になります。

 

棋士は次項で解説する「奨励会」をクリアして四段になった人のことを言います。棋士には男女問わずなれるのですが、昔から将棋界は男性が中心でした。

 

近年の将棋ブームで女性への普及も進んでいますが、まだ女性のレベルは男性には追いついていないのが現状で、女性で四段になった人はこれまで誕生していません。

 

そこで「女性にもプロとしての活躍の場を」と設けられているのが、女性だけがなれる女流棋士の制度です。棋力では男性の棋士には及ばないのですが、女性特有の華やかな戦いや、同じ女性への将棋普及で、大きな貢献を果たしてきました。今や女流棋士はなくてはならない存在になっています。

 

棋士の養成機関「奨励会」

棋士になるためには、養成機関の「奨励会(正式名称は新進棋士奨励会)」に入会する必要があります。

 

プロになろうという少年少女が全国から集まってくるわけですから、並大抵の棋力では奨励会に入ることはできません。最低でも全国大会の都道府県代表クラス、段位でいえばアマ五段は必要だといわれています。

 

プロとアマの段位はまったく違っていて、奨励会員は原則6級からのスタートになります。そこから5級~1級と上がっていき、以降は初段、二段、三段というピラミッドのような構図になっています。

 

最後の三段は全員でリーグ戦を行い、これを「三段リーグ」といいます。およそ30人の三段が半年間にわたって全18局を戦います。そして上位2人だけが四段プロデビューできます。つまり原則として、1年につき4人しかプロになれないという狭き門なのです。

 

奨励会の下部組織「研修会」

プロ棋士の養成機関は奨励会だけではなく、その下部組織である「研修会」もあります。研修会は必ずしもプロを目指す人だけが入会するわけではありませんが、奨励会に入るためのステップとして入会する人が多いようです。
必要な棋力は、一番下のFクラスでアマ二段ほどです。Aクラスが奨励会6級相当となっています。また、研修会は、女流棋士の養成機関でもあります。B2クラスにまで上がれば、女流2級としてデビューできるのです。

 

プロになれなかった人はどうなる?

奨励会には鉄の掟とも言われる年齢制限が存在します。満21歳の誕生日までに初段、満26歳までに四段に上がれなければ、強制的に退会させられるのです。この年齢制限により涙を飲んだプロ志望は、数え切れないほどです。

 

しかしこの掟は、青春時代のすべてを将棋に懸けてきたような人でも、なるべく早く社会復帰できるようにという計らいなのです。実際にかつて奨励会員だった人たちは、その多くがしっかりとした進路を歩んでいます。また一アマチュアとして将棋を楽しみ、全国大会で好成績を挙げたり普及のための仕事をしたりしています。

 

奨励会以外のプロ入りルートもある

プロ棋士になるには、原則として奨励会を抜けなければならないのですが、唯一の例外があります。それがプロ編入試験です。

 

アマチュアが全国大会で好成績を収めると、プロ棋戦への参加資格が与えられます。これでプロを相手に勝ち続け、一定の成績を収めると、編入試験を受けることができるのです。年齢は不問です。

 

このプロ編入試験制度が作られたのは、2005年、元奨励会員だった瀬川晶司さんがきっかけでした。瀬川さんは奨励会で三段まで進みましたが、年齢制限で退会します。その後は趣味として将棋を続けたのですが、アマチュア枠で参加したプロ棋戦で好成績を挙げました。

 

プロへの夢が再燃した瀬川さんは「奨励会以外からプロになれる道を」と日本将棋連盟に嘆願書を提出し、その結果、異例の編入試験が行われたのです。この試験に瀬川さんは合格し、今はプロとして活躍しています。

 

これまでにこの制度でプロ入りできたのは、瀬川さんの他は2015年に合格した今泉健司さんの2名しかいません。奨励会を退会してもプロを諦められない人にとっては大きな制度ですが、やはりその道は険しいということです。

 

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