スポンサードリンク
香車は盤の四隅が初期位置の駒です。前方に一直線に進めるという特性上、動かさなくとも問題ないことが多く、また普通は中央の駒を動かすことを優先させるので、終局までそのままということも珍しくありません。
では他の駒と比べて活躍の頻度は少なめかというと、そんなことはありません。効果的な使い方はいくつもあり、それらを知ることで勝率を上げることができるでしょう。
しばしば「槍」とも表現される香車は、その射程距離が持ち味です。初期位置からなら、最大で8マス動かすことができます。対して持ち駒にある場合は、一番奥以外ならどこにでも打てますが、奥の方ほど射程距離が短くなり、その分使い方の幅が狭まるばかりか、リスクも大きくなります。
穴熊を攻めようという図ですが、こんな風に近くに香車を打ってしまうと、すかさず△1三歩と打たれて、すぐに取られてしまいます。そうならないためにも、なるべく離して打ちましょう。
「下段の香に力あり」という格言があります。香車は自陣に打ち、遠くから相手陣を睨みながら他の駒と連携させるのがよい形です。
香車は前方に限れば、飛車と同じ威力を持ちます。その威力が最大限に発揮されるのは、前方に利きがない駒を狙う場合です。
特にこのような、2つの駒をまとめて攻めていく形を「田楽刺し」と言います。相手はどのように対応しても、角か金を取られてしまいます。確実に駒得できるので、持ち駒に香車があり、相手が価値の高い駒を縦に並べるような指し方をしたら、まっさきに田楽刺しを狙っていきましょう。
歩の上に金将がある形は非常に固く、「金底の歩、岩より固し」などと言います。横からの攻めにはめっぽう強いのですが、唯一と言っていい弱点があります。それこそが香車です。簡単な部分図を見てみましょう。
香車で金将に狙いを付けました。これでもう相手は困ってしまいます。持ち駒に歩がありますが、金の上に打って防ごうとするのは二歩の反則です。金が逃げれば▲5一龍と歩を取って、固かったはずの守りを完全に突破することができます。
金底の歩で対抗されたとき、もし持ち駒に香車がなかったら、まずは香車を奪うことを考えるといいかもしれません。
香車は重ね打ちをすることで、さらに威力を高められるという特性があります。
先ほどの穴熊攻略の図も、こうなれば迫力満点です。香車を3つも重ねて、一点突破を狙おうとしています。そうそう現れる形ではないのですが、「三段ロケット」などと言います。今度は△1三歩と打たれても、問題なく▲同香成(不成も可)以下、攻め続けることができるでしょう。
香車のロケットは、どんな陣形が相手でも有効になります。複数持ち駒にできたら、積極的に狙ってみてください。
将棋は中盤から局面が複雑化していきます。将棋はたった一手で形勢がひっくり返ったりするゲームですが、多くはうっかりミスによるものです。うっかりミスはどんな勝負事にもつきものですが、どうすれば防げるでしょうか?
将棋には「四隅の香車を見よ」という格言があります。
これは具体的な戦術や効果的な一手を教える格言ではありません。四隅の香車を見る――つまり盤面を広く見ましょうということを言っているのです。
指し手に迷ったら、一度深呼吸して、この格言を思い出してみましょう。隅から隅まで見渡せば、指すべき手が見えてくるはずです。タダで駒を取られるというミスも、大幅に減らすことができるでしょう。それこそ香車を有効活用するような好手が浮かぶかもしれませんね。
スポンサードリンク